JFK国際空港の新ターミナル
ニューヨークの玄関口、JFK国際空港内に、5月28日新しく「 ターミナル1 」がオープンした。 現在、JFK国際空港は2000年をめどに、「 JFK 2000 」と題して、50億ドルを投じた大規模な改装工事を行っている。 この新しいターミナルは、その一環として、イースタン・エアラインズ・ターミナルの置かれていた場所に4億3千4百ドルを投じ新築されたものだ。 デベロッパーとして、エール・フランス、日本航空、大韓航空、ルフトハンザ・ジャーマン・エアラインズの4ヶ国のナショナル・フラッグ・キャリアが共同出資し、94年、リミティッド・パートナーシップ 「 TOGA 」( Terminal One Group Association ) および、「 TOMI 」( Terminal One Management,Inc. )を設立、翌年から 「 ターミナル1 」 建設工事を行っていた。 この新しいターミナルは、他国ではおよそ例をみない航空会社が直接運営するターミナルで、総床面積は、約6万平米。 747型機が縦に3機ほど並ぶ、長く広々としたスペースは、1階が到着階、2階が出発階、3階がレストラン・アトリウム、および各社オフィスと、3層に分かれており、11の搭乗ゲートを持ち、年間360万人の旅客に対応できる。
このターミナルには、国際線ターミナルとして、快適さと、機能性を重視した工夫が随所に施されている。 まず第一に強調されたのが建築物のデザイン面であるが、ニューヨーク・ラガーディア空港内のUS エアウェイズ・ターミナルや、シカゴ国際空港内のユナイティッドエアライン・ターミナルを設計したことで知られるWilliam Nicholas Bodoura & Associatesがデザインを担当している。 彼等があくまでも固執したのは、Airfoilと呼ばれる新デザインである。 建物の屋根をデザインするにあたり、飛行機の翼部や機体をイメージし、表面がスムーズで緩やかな丸みを帯びた形で屋根の部分を特徴づけた。 そして、ガラスが壁全四面と、一部の屋根に用いられた斬新なデザインは、チェックイン・カウンター、ゲート、税関、イミグレーションなどを含むターミナル全体に、自然光が降り注ぐように設計されている。
機能性に関しても、米国初の最新鋭機器導入で、JFK国際空港内で初めてチェックイン前の手荷物検査が不要になった他、ボーディングブリッジの上下移動によって、到着、出発の旅客の流れを分離するなど最新システムを導入している。 また、5つあるファーストクラス・ビジネスクラスのラウンジには、シャワー設備を取り入れ、そのほか喫煙室、子供のプレイエリアなども設置されている。 ラウンジのほかにも、ビジネス客を考慮し、到着階コンシェルジェ・デスクでは、コピー、ファックス、ファースト・デリバリー・メイル、携帯電話のレンタルなどの新しいサービスも行っている。 加えて、ターミナル内各所に設置されている、自動バンク・システム、自動外貨両替機、セルフサービスのファックス・マシーンといった機器のオートメイション化も新しい傾向である。
さて、以上は表向きの顔であるが、実際に利用してみたところ、以下のような不備な点が浮かびでてきた。
まず第一に、ターミナル内のフライト到着時間案内の表示が不明瞭な点である。 通常、フライトの到着が遅れる場合、ターミナル内の発着案内モニターや、到着ロビーの掲示板に、到着予定時刻の変更が随時更新され表示される。 しかし、ターミナル内のモニターおよび、到着ロビー中央に設置されている掲示板には、「 遅れ 」 を意味する 「 Delayed 」 のサインが表示されるだけで、どれほどの遅れでフライトが到着するのか、という最も重要な表示がでてこない。 実際の到着時刻が明記されないということは、一般のフライト待ちの人々や、バスやリムジンのドライバーにとっては、当然の不安材料になりうる。 また特に、到着後に視察や、会社訪問、観光、昼食などの予定を控えたツアーガイドに至っては、以後のスケジュール変更や、アポイント時間変更の手配にも影響がでてくる。
次に不可解なことは、ターミナル前にリムジン・スタンドが設置されていない点である。 到着便を待つ相当数のリムジンは、ターミナル前に駐車できないため、ターミナルに繋がるコーナーの道路上に駐車していた。 これには、渋滞や交通事故に繋がるおそれを伴ううえ、肝心のリムジン利用者も自分の車を見つけだすのには極めて困難な状況である。
さらに今回の改装工事にともない、ターミナル間の接続道路が、狭いエリア内に多様に配されたためターミナル1まわりの車両通路が極めて複雑化されており、あいまって幾つかの問題が予想される。 まず、空港内に繋がるフリーウェイから直接ターミナルに入ってくる際、コーナーを曲がって突然、何の予告も無く信号機が現れるのには驚きの感がある。 少しスピードがでている車であれば当然、信号手前で停止するのは困難である。 また、ターミナル間に接続されるインターセクション、多数の信号機、駐車場からの出口などが非常に複雑で、それらを示すサインも不備のため、空港内に不案内な利用者は、少なからず間違ったルートをとったり、同じ所を何度も廻る、といった可能性がでてくる。 加えて、コンコルドを含む多数のヨーロッパ便が離着陸する午後には、スペースの問題で、ターミナル1、2、3を結ぶ接合地点、およびターミナル1の出発階と到着階の合流地点などでの渋滞が予想される。
JFK国際空港内 「 ターミナル1 」 は、 最先端都市ニューヨークに相応しい、デザインと機能性を持ち合わせた最新のターミナルに違いない。 しかし、利用者が真に望む安全性と利便性に対しては、さらに改善すべき急務が残されていると言える。
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