改善されるニューヨークの図書館像

鉄鋼王であり社会事業家であるアンドリュー=カーネギーは、1901年から1929年に渡り、67の図書館をニューヨーク市全域に建築し、それを市に寄贈している。 現在、ニューヨーク市には、現存する54のカーネギー寄贈図書館を含め73の図書館があるが、3億ドル( 1ドル=128円換算で384億円 )を超す巨費を投じ、これらの図書館が大規模に改装されている。

今回の図書館再生計画の要因は、1つにアメリカ経済の安定化が挙げられるが、ジュリアーニ市長、ヴァロン区長などの行政側の認識が 高まったことに依るところが大きい。 例えば、昨年度、73の図書館に会計年度予算として、1990年度の約3倍にもあたる2110万ドル( 約27億円 )の予算が割り当てられた。また、90年代初頭の予算削減のため、週2日間のみ開館と制限されていたいくつかの図書館も、今では週6日間、利用者を迎え入れるまでになっている。

再生される図書館が目指す新しいコンセプトは、立地、利用者層、利用目的、などによって大きく異なるが、それぞれの図書館に特徴ある改善が施されている。 以下に主だった新しいコンセプトを紹介する。

フラッシング図書館は、クイーンズ区最大の図書館で、パルシェック アンド パートナーズの設計により、デザイン的付加価値を与えた改装が進められている。 壁一面がガラス張りで、ゆるやかにカーブを描き、ガラスの壁がビル全体をつつむ型になっている( カービング.カーテン.ウォール )。 また、壁ガラスは実際のビルの角を60センチ程超えたところで横壁のガラスと接合しているため、見る目には、ガラスの透明さが一層強く感じられる。 また、クイーンズ区は、ニューヨーク最大の移民者の居住区でもあるため、その需要に応じるよう英語クラス、成人教育センター、コミュニティーセンター、といった新しいサービスも提供する構えだ。

リンカーンセンターの一角にあり、あまり目立つ事のなかったパフォーミング=アーツ図書館も、来年7月から2000年の夏までの期間に、2500万ドル( 32億円 )をかけての改装が予定されている。 まず、館内スペースを拡大し、収容人員の増加を図る。 スペースが広がったために視度が広がり、探している書籍、音楽のコレクションなどが見つけやすくなる。 またそれに加え、図書館側スタッフも容易に利用者へ目が行き届くという利点もある。 また、演劇、ダンス、音楽とそれぞれの項目に応じ個別に設けていた読書室の弊害( 演劇の読書室に利用者が偏る )を防ぐため、窓を大きく使った読書室をアムステルダム街を見下ろせる西側に増設する計画である。

コロンビア大学のバトラー図書館は、2000万ドル( 25.6億円 )を投じ、元来、経済学部図書室として設計されていた読書室を改築している。 図書館は最新の情報を交換するための場であるというコンセプトに基き、オーディオ、ビデオ、CD−ROMなどのネットワークを構築することが第一の目的に置かれている。 また、ラウンジ内には、片隅に電子メールを送受信するためのE−mail“ Bar ”を設置し、もう片方にはコーヒー“ Bar ”への入り口を設置する。 また、双方の中間には、学生がグループで勉強できるよう大きめのコーヒーテーブルを置くように設計した。

これらがその主だった新しいコンセプトだが、それ以外にも前述したように、五番街の中央図書館をはじめニューヨーク市全域の図書館が各々の新しいコンセプトを基に大幅に改装されている。 それらのコンセプトの中には、利用者であるニューヨーカーが図書館に求める三項目−蔵書管理、居心地、洗練された科学技術、を基盤に据えた上で、建物自体の斬新なデザイン、視度的に美的本望を満足させるアトリウムや読書室の空間設計、スペース拡大に伴うセキュリティー面での相乗効果、バーンズ アンド ノーブル( 大型書籍チェーン店 )に追随する、居住性のある内装設計、家具の利用、エスプレッソ マシーンの導入、コーヒーショップの設置、電子メール、コンピューターなどのネットワーク構築、などの要因が含まれている。

3億ドルという巨額予算を投じた今回の図書館再生計画は、2001年の中央図書館修復工事の終了をもって幕が閉じられる。 これら新しく再生された図書館の姿には、21世紀を見据えた将来の図書館像が見られるに違いない。

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多少古いですが、今までに新聞に
掲載した記事やBaruchでの論文
などをアトランダムに載せました、
興味のある方はご一読下さい。 
今読むと、ビジネススタイルの変貌
の速さに驚愕を覚えます。
著者の日記