アメリカのユダヤ人、歴史

わたしたち母校のニューヨーク市立大学バルークカレッジ創始者である、バーナード・バルークは、ユダヤ人資産家であり、2度の世界大戦に大きな影響力を発揮した影の政治家でもありました。第二次世界大戦中は、原爆開発の有力な支援者となり、「マンハッタン計画」を指導し、戦後は、「冷たい戦争(コールド・ウォー)」の言葉を初めて使用しました。一般に、彼が「冷戦」の名付け親であるとされています。そんなカレッジには日本人も多く、バルークの話から戦争について、ひいては、ユダヤ人についての話をある掲示板で行いました。以下は、その時記述した端的なコピーであります。掲示板ですから前後関係がありましたが、他の方が書き込んだ記述は割愛いたしました。ご了承ください。(記2006年)

ニューヨーク市立大学バルーク校の掲示板での議論01

そうですね。もともとはCity Univ of NYのBusiness Deptだったようですね。1953年に学名がBaruchに変更になったようです。詳細は、 https://en.wikipedia.org/wiki/Baruch_College  にありました。Wikiを読んでて驚きましたが、ブッシュ大統領は、70年代にツルミ教授(まだバルークで教えているのかな)の教え子だったとか。また、バルークの元学生で、ラルフ・ローレン、ジェニファー・ロペスの名前もありました。教授(バルークカレッジの歴史科ファカルティ)が言っていましたが、わたしが大学に行っていた時のフィリップモーリス社のCEOもバルーク出だったようです。バルークのビジネスを出られた方は、鼻が高いですよね。というわたしは、メジャーがHistoryでした(^^;

バルーク氏の話ですが、原爆投下を指示した、という点について一言述べておきます。既に戦争は終焉を迎えていましたが、ユダヤ人は戦争で富みを築いてきたという歴史の一面も確かにあります。ユダヤ人は、ローマ帝国からイスラエルを追われ、ヨーロッパ各国に離散したと言われています。しかし、スペインではレコンキスタがあり、ドイツではホロコースト、ロシアではポグロムというユダヤ人の虐殺という歴史がありました。同族が理由もなく、スケープゴートとなったり、戦争や政治の背景で殺されてきた歴史を経てきた民族ですから、わたしたちには理解できない思考を持っていると思います。

ユダヤ人が直接的に武器を手にするのは、イスラエルのユダヤ人(ロシアからの避難移民)くらいですね。ヨーロッパでもアメリカでも、ユダヤ人は、戦争を背後からアジる側として戦時特需で利益を上げてきました。日露戦争でも、ウォール街は小国日本に莫大な戦時軍資金を渡しておきながら、同時に進行していたソビエト革命のための準備金をソビエト革命軍(レーニンもトロツキーもユダヤ人でした)にも渡します。日本が勝ったことで莫大なリターンがウォール街に入っています。ヨーロッパでも普仏戦争では、フランス、イギリス、ドイツのロスチャイルド家は、フランス、ドイツ双方に資金援助します。フランス、ドイツのどちらが勝っても、戦争で莫大な金が動くわけですから、それに乗じてどんどん戦争させていたんですね。結果的に、イギリスのロスチャイルド家が数日のうちにイギリス証券取引所の取引銘柄の60%を取得したとかしないとか。ですから、ロスチャイルド家などは、死の商人とも呼ばれています。

彼等ユダヤ人にとって、戦争はビジネスチャンスとしてしか考えていないのですね。そう考えてもよい思考になっているのでしょう。ビジネスは儲からなければ意味がありませんから、儲かるために当たり前のことをした、としか考えていないのです。日本でも岩崎弥太郎(三菱)は同じようにして巨大化、財閥化を達成できました。

戦争となる原因を作って体裁を整える。火事を起こしておいて、消火活動を手助けする、まさにマッチポンプと呼ばれる法則ですね。そして決して当事者にはなりませんし、表には出てきません。それがユダヤ人の法則というものでしょう。

昔の人は、お金はきれいに作ることができるようになるまで、誰でも多少は悪いことをしていたんですね。確かパークアベニューにシーグラムビルというでかいビルがありましたね。日本領事館とか住友銀行が入っているあたりのビルです。そのシーグラムは、カナダの酒造メーカーで、アメリカの禁酒法時代に、アメリカでは違法である酒造により莫大な富を形成したユダヤ人です。まぁ、脱法ビジネスのようなものですね。ユダヤのビジネスはこの手が多くあります。ロスチャイルドもキリスト教で背徳行為とされていた銀行業務をヨーロッパで開始したファミリーですね。そうやって始めは悪いことをしてでも、誰もがやらないことを始めて成功事例(富)を作っていく。最近では、富豪リスト https://en.wikipedia.org/wiki/The_World%27s_Billionaires#2006_Top_10 の写真12位までのうち、5人がユダヤ人です。ビルゲイツやデルなどれっきとしたビジネスで富を形成するユダヤ人が現れましたが、ビルゲイツで50ビリオンくらいでしょう。彼等の資産は表から見える氷山の一角にすぎません。これまでの何十年、何百年と資産を運用し、表には決して出てこなかったユダヤの富がスイスやルクセンブルクにはあります。

特に批判してはいませんが、歴史を見てみると、戦争とユダヤ人の関係についてこのような感想を持ちました。長くなってすみません。(記2006年)

ニューヨーク市立大学バルーク校の掲示板での議論02 MLB

そうですね。もともとは、ドイツのロートシェルド家の子息が、フランスではルッシェルド、イギリスではロスチャイルドと分かれていったんですよね。日本や中国(香港)には、HSBC銀行や、マセソン商会やらが、日本に武器を輸出してきたんですね。当時はまだ鎖国時代でしたが、長崎には入れましたので、HSBCなどは長崎に初の日本支店を設け日本進出の足がかりとしています。また、武器の受注先は長崎のグラバー、その下に、海援隊、後の三菱財閥を形成することになる岩崎弥太郎などがいたんじゃなかったかと記憶します。HSBCはロスチャイルド家ですから、ロスチャイルド家も三菱(岩崎家)もともに財源は、軍需産業であった、ということはあながし疑いのないところだと思います。

確かにユダヤ人(ユダヤ教信者)と経済の関係を論議すると、民族的、宗教的な論点を避けることはできませんね。それが差別や偏見に繋がる嫌いも場合によってはあると思います。たしかにユダヤ人は富を手にし、商売上手であるというイメージで捉えられがちですが、といっても、アメリカでは彼らの90%は低中所得者層です。現在、世界のユダヤ人の人口ではアメリカが最も多く、この国には500万人(600万だったか)がいます(イスラエルには500万弱のユダヤ人、それも彼らは90年代以降にロシアをはじめとした東欧からの移民ですから資産を形成する家系ではありません)。アメリカのユダヤ人といっても3つくらいの種類に割れると思います。ここでは言及しませんが、端的に申しますと、現在、ニューヨークには170万人のユダヤ人が存在し、そのうちの9割以上が低中所得者にあたり、ニューヨークから生活保護をうける多数の貧困層も存在します。ニューヨーク市の人口が約800万人ですから、まぁ、4.5人に一人はユダヤ人と考えられます(ちなみにニューヨークで最も多い民族は、ドイツ系アメリカ人です。参考:19世紀のヨーロッパからの移民)。バルークの教授も8割以上はジューイッシュだったと思います。ニューヨーク市の教員の民族構成もそうですね。つまり、ユダヤ人の中でも、ほんの一部の人たちが富を握っているのであって、普通に生活するユダヤ人家庭がほとんどだと思います。したがって、ユダヤ人といっても、ひとくくりにまとめて彼らの経済活動を定義することはできません。

しかしながら、その一部のユダヤ人が商売上手ということは確かなことだと思います。わたしは、NYに住んでいる時、(27stのLexと3rdの間の)アパートに住んでいましたが、ルームメートはユダヤ人でした。もちろんアメリカ人でしたが、生真面目な女性で、日本人であるわたしとはうまがあいました。彼女のおじいさんは、ラスベガスを開発した一人だということで大層な資産家で、アッパーイーストのコープは一階すべてを所有した豪邸そのものでした。1930年代からのフーバーダムの建設により、ラスベガスも同時開発され、イタリアンマフィアやジューイッシュマフィアがベガスに資金を移行したんですね。当時ベガスを最初に開発した一人だと...。そんな話を聞くと、やはりユダヤ人はビジネスに長けた人が多いのだと思いました。ニューヨークは、ジューヨークと呼ばれるくらい多くのユダヤ人がいますから、身近な彼らとも庶民レベルでお互いの文化やビジネス思考についても話したり、聞いてみるのがいいのではないかと思います。(話しはそれますが、ルームメートだった彼女の彼氏はドイツ人でしたが、敬虔なジューでしたから結婚が許されることはありませんでした。)

さて、上にユダヤ人といっても3つの種類に別れる、と書きましたが、ユダヤ人をひとくくりにできない理由もあります。彼らは、ユダヤ教徒に改宗すれば宗教的ユダヤ人になれますし、母親さえユダヤ人でしたら、その子は民族的ユダヤ人となります。ですから、ユダヤ人といっても彼らは世界中に存在するわけです。今日ユダヤ人最大の集団が存在するアメリカでさえ、そのルーツは多様化しております。アメリカに入ってきたユダヤ人の移民史は、3つから5つ程に分けられるのですが、それぞれに特徴や歴史的背景があります。アメリカに渡ってきた後の経済活動でも、画一的なユダヤ人像は存在しません。

それでも、19世紀の半ばにドイツから入ってきたユダヤ人は突出しておりました。その中に多く含まれていたユダヤ人は、当時のアメリカ経済に最も貢献した人たちだと思います。その中では、リーバイ・ストラウス(ジーンズ)や、シアーズ、メイシーズ、ゴールドマン(ゴールドマン・サックス証券)などは有名です。この頃からウォール街で活躍するユダヤ人も増加します。これらドイツ系ユダヤ人の活躍もあり、WASP社会であったアメリカ財界においても、ユダヤ人は特例的にビジネスの友好的特権を享受されたといえます(逆に当時のニューヨークでは、アイルランド系移民やイタリア系移民に対する職業的差別は歴然として存在しておりました)。同時期に、イギリスのロスチャイルド家もウォール街に進出しています。その手先としてヨーロッパ資本の代理人だったのが、モルガン家です。まだこの時代には独禁法は存在しませんでしたから、婚姻により財閥が財閥を作り、資産の巨大化を図ることができた時代です。

その後、19世紀末から20世紀初頭に帝政ロシア(ロシア人)がユダヤ人を虐待します。いわゆるポグロムというロシア版のホロコーストです。後にロシア革命とつながり、ユダヤ人であったレーニンやトロツキーが中心となりロシア革命を起こす経緯に至るわけですが、当時、ロシアから大量のユダヤ人がアメリカに移民してきました。(これは日露戦争、ひいてはロシア革命に色濃く影を落とします)彼らがアメリカやニューヨーク経済に与えた影響も見逃せません。彼らは新しい産業、映画、メディアに目を付けます。映画産業の大部分がユダヤ人により築かれたといえます。新しい産業では、Waspなどのエスタブリッシュメントは関係なく、ビジネスにおける先行者利益という面で特権を享受することができたわけです。MGMやユニバーサル、ワーナー兄弟など、ユダヤ人母体の多くのハリウッドメジャーを生み出しているのは承知だと思います。メディアも同じことが言えます。テレビという新しい産業も先に牛耳ってしまいます。アメリカのテレビ局で3大ネットワーク(4大ネットワークとも言われておりますが)、そのNBC,ABC,CBSはともにロシア系ユダヤ人移民サーノフが一人で築き上げた世界初のコングロマリットです。後に現ユダヤ人のニューヨーク市長、ブルームバーグ氏もこの分野に進出したわけです。新聞・雑誌・広告というメディアも同じように半支配しています。タイム、フォーチューン、ニューズウィーク、NYタイムス、NYポスト、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポスト、、、ユダヤ人が築いた紙面には枚挙に暇がありません。世論を操作するには最短の媒体であるメディアを制するということがどういうことか、、、アメリカを影で扇動することも可能な訳で、考えるとぞっとしますね。

この他にも、情報テクノロジーの分野では、ビル・ゲイツが基幹OS、デルがPCハード、オラクルがソフトウェアーのデータベース、など現代の情報化社会でもユダヤ系企業はその中枢を抑えているわけです。リテイルでもホームデポ、トイザラス、エスティーローダー、云々、、、金融も然りですから、ユダヤ系企業を挙げるときりがありません。これだけ見ると、アメリカ経済の中枢を支えているのはユダヤ人か?という幻想さえ抱くことになりますが、もちろんそうではありません。WASPやロックフェラーの存在はユダヤ系と双璧をなすか、少なくともアメリカではそれ以上のものがあるとわたしは推測します。ただ、ここでは(一部?の)ユダヤ人の商売があくどいのか、という点について考察してみます。

曖昧さゆえの美徳を重んじる日本人から見れば、ユダヤ人の商売の仕方は「ずるく」、「あくどい」ものだという見方が一般的かもしれません。どういうことか考えてみると、大局は、「お金に対する価値観の違い」というところに行き着くと思います。つまり、ユダヤ人は、お金を「価値」で考えているのだと思います。つまるところ、物には価値が存在するわけで、価値には需給が反映し、値をつけて物を売り買いします。ですから、安くで買って何が悪いのか?高くで売って何が悪いのか?と言う具合に、彼らは物の価値に値を付けるだけで、ほんの少しも悪いことであるとは考えていません。物の背後にある感情などは初めから排除しており、お金を汚いものだとする考え方も、全く存在しない。むしろ、お金を持っていることを健全とする考え方でいます。日本にはそれがない。というよりも、お金を汚いものだとする清貧さを尊いものとし、お金に全く執着をもたない物を美化するという考え方を持っています。個人的には、わたしもみんなもそうだと思います。日本人という殻の中から世界を見ると、往々にして自分の文化が美しいものだという錯覚に陥ります。実は、ここに差別の根源が発祥しています。自分の生まれ育った環境や文化、思想と照らし合わせるために生まれた差別観(エスノセントリズム)ともいうべきものです。わたしたちの目、その見地こそが差別や偏見を生み出すものだと思いました。できれば、せっかく世界最大のユダヤ人の街にいるわけですから、よく彼らを観察し、できれば彼らと話したり友達になることで、お互いの理解が生まれるのではないかと思います。それによって、ひいてはビジネスの世界でも付き合いが生まれればと思います。(記2006年)